—さあ、やってまいりました。ここ、後楽園ホールは超満員札止め。
世紀の一戦を今か今かと待ち侘びております。
IWGPタッグのベルトは一体どちらの手に渡るのか。
こんな、辻よしなりさんの軽妙な実況で始まる、
に、私は熱狂した。
時系列はかなり曖昧なのだが、活躍していたレスラーは、藤波辰爾選手や長州力選手がベテラン勢。
また、闘魂三銃士と呼ばれていた橋本真也選手、武藤敬司選手、蝶野正洋選手が若手でいたような。
多分番組は、土曜日の夕方に放送されていた様に思う。
そして、ある日の放送で。
いつもの様に視聴していると、
何だこれは。
誰だったか忘れてしまったが、ベテラン選手の褐色の背中に何か
痣
の様なものがあった。
上記の絵の様に等間隔で。
赤黒い丸が綺麗に並んでいる。
TVの向こうはその事に、誰も何も触れない。
何か不治の病に冒され、必死で抗いながら試合に出ている。
そう私は考えた。
又、こんな模様が出る病気に戦慄した。
それからどれだけの時間が経ったのか。
今、
まさか、
私の身にも降りかかるとは。
それは肩に現れた。
もうダメだ。病に冒されてしまった。
妻よ、子供達よ。後は宜しく…
…
なんつって。これは、
「吸玉療法」。
吸玉(すいだま)という器具をつかった治療法だ。
と言う訳で、これを知ったのは鍼灸専門学校。あのプロレスラーはきっと腰痛に悩んでいたのだろう。
脊柱起立筋に沿って跡がのこっていたのだね。
知った当時、少しホッとしたのを覚えている。
鍼灸師となり、私も購入し、使っていた。
これを久しぶりに、押入れから引っ張り出して、
「セルフ治療」
したのだ。
ちゅーっと陰圧。
しばらく放置し。
—ぽん。
と、いい音を出しながら取り外す。
すると上記の様な痣が残る。
何故、肩にしたのか。
うん。勿論、肩はしんどいのだけど。
それよりも。
その時の選手達の肩に、吸玉の跡があったのだ。
かっこいい彼らの肩に。
これは。
バスケットマンと勘違いして、ギャル達が私の元に集まるのではないかと、下心満載でつけてみた次第。
今、ドキドキしながらタンクトップ姿で街をうろついている。