若い時は全くこだわりを持てなかった。
当時は、絶賛高速回転中。時間的にも金銭的にも、そんな事を考える余裕など無い。
服は、
着られればいい。
ご飯は、
食べられればいい。
若い時の苦労は買ってでもしろ
成程。
そういう事か。
私だけではないのだ。
人生はマラソン。
皆同じ。
デッドゾーンの後は、
セカンドウインドが来る。
ペース良く2回鼻で吸って口で吐く、
「すっすっはー」
繰り返し、繰り返す。
一点しか見えなかった景色がパノラマで見える様になってきた。
落ち着いて自分と対話が出来る時期が訪れ、手始めに物欲について考えてみた。
祖父の思い出。
子供の頃、大好きだった。
手を引かれ色々な所に連れて行って貰った。
その中でも、お小遣いをくれる時の小銭入れがとても印象に残っていた。
あんな物が欲しい。
一生懸命探すわけでもなく、財布を売っている所が有れば覗いた。
そして、ついに見つけた。
ある百貨店の財布コーナーで。
固すぎず、柔らか過ぎない革で、使い続けて行けばきっと、
味
が生まれるであろう、それを。
今現在。共に歳を重ね、ようやく風合いが生まれ始めたぐらいだろうか。
これで孫にお小遣いをあげる事が出来れば、祖父から受け継いだ私の役目は果たせる。
確証など何処にも無いが、何故かそんな気がしている。
そんな、他人に迷惑をかけない程度の
こだわり
を持ち続け、これからも生きていきたいにゃー。
おしまい。