人の脳というのは、共通している様で 、全く違う物なのかも知れない。
あれは、そろそろ国家試験を受けなければいけない時期であったろうか。
当時、私は、専門学校へ、ある資格を取るため通っていた。
同級生と放課後勉強会をするのだか、近くに相応しい場所が無かった。
自然と、ファミレスや喫茶店など、食事をする場所で勉強する事になっていった。
4〜5人で店に入り、ご飯を食べる前にジャンケンをする。そして、負けた人間が、皆の食事代を払う。そんな遊びにがいつのまにか定着していた。
あれは、誰がやり出したのか。
領収書をその場に居ない同級生の名前で作ってもらう。
店員さんにとっては迷惑この上無い話だ。書いてもらった領収書を次の日に宛名の同級生に渡し、ニヤニヤする。何か変な連帯感とでも言うか、和むと言うか、空気感が面白かったのだ。
ある日、いつものようにジャンケンをした。
結構勝率の良かった私がその日は負けてしまった。まあまあ、一食くらい奢っても構わないと、そそくさとご飯を平らげ、いつもの様に領収書を書いてもらう。
若い男の店員さんであった。
領収書の宛名はいつも同じ。
私はこう言った。
「〜(苗字は割愛させて頂く)で、したのなまえは、えいぞうです。えいぞうのえいはえいごのえい、ぞうはすうじのさんです。」
すると、店員さんはクビをかしげながら一文字ずつ書いて行く。
何故だろう。そんな難しい漢字だっただろうか。
そして、私に渡された領収書には
A3
と記されていた。
彼は新大陸を発見できるだろう。