表と裏の高速回転

色々な気持ちを忘れない様に

「I」

 子供時代の一人称。

男の子なら「ぼく」か「おれ」。

女の子なら「わたし」。

 

 幼稚園、小学校と私は「ぼく」で通してきた。

 自分のことを「おれ」と言うのには資格がいるような気がして使えなかった。

 

 思春期に入り、皆が「おれ」デビューし始める。

 私も「ぼく」のままでは、いけないとは思ってはいたが、自分のキャラクターとの乖離が甚だしく二の足を踏んでいた。

 

 そして、編み出した呼び名が

 

 

「わし」

 

 

 

 祖父には不評だったが、なんとなく捻くれ者の自分を表していると感じ、気に入っている。

 今現在は年齢が追いついて来たのか、気兼ねなく「わし」と言える。

 

そして本題。

 

 英語の「私」の主語は「I」。

 

 それだけ。だと、確か教えてもらった。

 

 もし英語が使えたら、「わし」を「I」で表現してみたい。

 

 身振り手振り表情を交え、相手にこの人の一人称は「わし」なんだと思わせてみたい。

 

 馬鹿げた自己満足。

 

 どこにたどり着くでもない欲求が私のアイデンティティであり、チャームポイントであり、そして、一人悦に入り、ビールを飲んでいる。

 

 

 

 

惹起


シザーハンズ (字幕版)

 私は、ティム・バートン監督の作品が大好きだ。

 すみずみまでこだわり抜いた世界観。

何処を切り取っても愛を感じるキャラクターや風景。

 

好きなことを仕事にできている感覚を皆に等しく分け与えてくれているような、そんな幸せな気持ちにさせてくれる。

 

 そして、彼の世界は楽しさの中に物悲しさが含まれている。

 

私の中で言う所の

 

「サーカス」

 

に似ている。

 

 その作品の中でも取り分け、私は「シザーハンズ」が好きなのである。

 

 ジョニー・デップ扮するは、人造人間エドワード。手がハサミの主人公。

 

 洋画だからなのかわからないが、全く違和感無く世界に入り込めるのは、ジョニー・デップたる所以なのか。母性を惹起させるようなかわいさを随所に散りばめ、朴訥なキャラクターを魅力のある存在に引き上げている。

 

 私が言えた立場ではないが、非常によく出来た映画だ。

 

 後、シザーハンズを見ると、セットで出てくる思い出がある。

 

それは小学校の文集。

 

 私の手元にはもう無いのだが、将来の目標を皆が書き記した冊子だった。

 めいめい、警察官やコックさん等、なりたい職業を書いていた。ちなみに私は書道の先生。唯一、小学校時代にしていた習い事。

 

 その中の一人が裁縫が上手くなりたいと書いていた。

 

 

 私は器用ではありません。

 

 

 

 

 武器用です。

 

 

 

と。

 

 

どうしても、セットで思い出してしまう。

 

 

 

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野望

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今週のお題「わたしの部屋」

 

家を購入して7年程経った。

2階建の一軒家で4LDK。非常に満足している。

 

だが、私の部屋は「無い」。

 

1階はリビングと和室。2階に我々夫婦の寝室と子供部屋。

それで一杯。とても今現在、自分の部屋が欲しいなどと口が裂けても言えない状況である。

 

それでも将来、子供が独立し部屋が余ってきたら、狙っている場所がある。

子供部屋でも寝室でもなく、二階にある物置き。

きっと、建築時に注文すればトイレになり得たであろうスペース。

そこに、私の居場所を築城するのだ。

 

子供時分、3人兄弟だった私は、自分の部屋があてがわれる訳もなかった。

たまにいる、自分の部屋を持つ友人の家に遊びに行った時は、おのぼりさんの様に辺りを見回した後、羨望の眼差しを向けるのみであった。

 

ただ一時、自分だけの空間を作る事が出来た。

あれは、寝る前。

布団を敷き終わった後に出来る押入れの空白。

 

そこへ私は、ドラえもんよろしく上の段に潜り込む。

デスクライトを持ち込んで毛布に包まりながら本を読む。

 

あの狭く薄暗い場所は、生まれる前の記憶に残る心地良さがあった。

 

あの雰囲気が、その物置にも宿っている気がしてならない。

 

一夜城にならぬ様、今から設計しておく事にしようか。

 

 

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処世術

 子供の頃、つまらない時間があった。

 

 今では当たり前に感じる日常の平穏な場面。

 

 常に良い事ばかりでは無いのは分かっていたのだが、何とかして楽しい気分になりたかった。

 

 私は笑ってみた。

 

 楽しくも無いのに。

 

 最初の方はただの声の羅列。

 

 1分位してくると、少しずつではあるが、気持ちが加速度的に高揚してくる。

 

 そして、最後にはリミッターが外れたかの様に凄く楽しい気持ちがやってきた。

 

 大声で笑い続ける私を姉が見て、

 

「〇〇ちゃん(私の名)がひきつけ起こしてる!!」

 

と言い、


【第2類医薬品】樋屋奇応丸 特撰金粒(500粒)【樋屋奇応丸(ひやきおーがん)】

 

「ひやきおーがん」を持って来た。

 

 それを飲まされ、落ち着かされる。

 

 側から見ると危険な状態に見えたのだろう。

 

 私は一連の行為の意味を、説明出来ずに笑い疲れて寝てしまう。

 

 今思うと、あの時の方が自分の心の処方箋を持っていたのかも知れない。

 

 今度辛い事があったなら、一度試してみようと思っている。

 

 ひやきおーがんはないけれど。

 

 

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あのおもちゃ

Switchの新作ソフト「星のカービィディスカバリー」が発売された。


星のカービィ ディスカバリー Nintendo Switch HAC-P-ARZGA

 

 今回のカービィは敵を吸い込むだけでなく、「ほおばる」事が出来るそうな。

 

 その記事を読んだ刹那、あるおもちゃが頭に浮かんだ。

 

 名前は覚えていない。

 

主役は

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なんの変哲もないのっぺりとした車。

 

そして、電車の様に決まったレールの上を行く。

 

カービィは「ほおばる」

 

かたやこのおもちゃの肝は

 

「かぶる」

 

である。

 

 ヤドカリ宜しくいろんな仕事をする車を借りて、ボールを運ぶ。

 

 これも、うろ覚えであまり覚えていないのだか、

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 ダンプカーなどの重機に変身し、赤い玉を運んでいた。

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 一番気に入っていたのは、レールに散らばった玉をブルドーザーが集める場所。先端が独立し、独特な動きをする。

 

 

 友人の家にあり、遊びに行く度に作って長い間眺めていた。

 

 一生懸命健気にボールを運ぶ様は、私に初めて「いじらしさ」と言う感情を抱かせた。

 

 完結された世界を表現した、あの当時では非常に良く出来たおもちゃだった。

 

 友人の家にはまだあるのだろうか。

 

 できればもう一度「彼」を応援したいのだが。

 

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こま回し

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 私には3つ上の兄がいる。

あの当時、遊びが非常に上手だった。

 

 戦利品のメンコ(我々の地域ではベッタンと呼んでいた)を沢山持って帰って来て、さも当たり前のような顔をしていた。

 

 私は、その後ろをついて回る腰巾着。

何でもできる兄を尊敬していた。

 

 一緒に鬼ごっこ等をする時、私には「ごまめ」という名が与えられ、タッチされても鬼にはならず、逃げる雰囲気だけを味わうことができた。

 

 小さい時の3歳違いは、埋めることができない大きな差であった。

 

 その遊びはそれで良かった。ただ、

 

 「こま回し」

 

これは、どうしても私は楽しめなかった。

 

 器用ではない私は、こまを回せない。

 

 兄達は回す事は勿論、こまを掌に乗せ、上空から相手のこまに落下させたり、回っているこまに紐をクルッと引っ掛け、綱渡り等曲芸のような事もして遊んでいた。

 

 私も混ざりたかった。

 

 昔の遊びには、練習が必要だった。後、所謂「カンの良さ」も備えていなければならなかった。

 

 私も勿論練習した。だが、最後まで回す事が出来なかった。

 

 それからしばらく経って、ファミコン等違う遊びも台頭し、いつの間にか、こまに対する執着も無くなってしまった。

 

 それから、時は流れて。

 

 息子が小学生の時、ベイブレードに夢中になっていた。

 

 普通に購入するには留まらず、コロコロコミックの懸賞にも応募する程熱心だった。(実際に何か当選していた)

 

 誰でも回す事が出来るこまに、なんの意味があるのか。

 子供だましのおもちゃだと決めつけ、私は遠巻きに眺めているだけだった。

 

 そんな気持ちは伝わるもので、息子も私との距離を置き始めた。

 

 これではいけないと思い、苦い思い出があるのだが、一念発起してこま回し、つまりはベイブレードを一緒に遊んでみようと思った。

 

 遊んだのはベイブレードバースト

 電池を使っていないのに、派手に壊れてしまうギミックは驚いた。

 

 一緒にやってみたが、やはり回す事自体は簡単だ。

 

 肝心なのは勝つためのパーツの組み合わせ。

 

 攻撃、防御重視など、色々目的に合わせたセッティングが可能で、戦略を考えた戦い方が出来る。 

 

 初心者から上級者まで、幅広い層の要求に答えられる奥の深さがあったのだ。

 

「3、2、1ゴーシュート!」 

 

 普段は恥ずかしがりやなのに、はっきり大きな声で喋る彼を見ることができ、何だかほっとした。

 

 私も、昔のあまり良いとは言えないこまに対する記憶が上書きされたような、心地よさを感じた。

 

 それから、ベイブレードは親子の絆を深める大切なツールとなった。

 

 もし、私が子供の頃、こま回しがベイブレードであったなら「ごまめ」ではなく、本物の楽しさを共有出来たに違いない。

 

 そんな時代に生まれた息子に少しやきもちを焼いている。

 

あの色

 祖父の家に行く夏休み。

 

 私鉄国鉄乗り継いで2時間ほどの旅をする。

 

 国鉄。私の記憶の残り香だ。

 

 ずらりと並ぶ駅員。規則正しいリズムで改札鋏を鳴らす。

 

 切符を切らなくても空撃ちを続けているのが印象的だった。

 

 そして、電車に乗り込むと、天井に、

あの色をした扇風機が回っていた。

 

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 ライトグリーン。今調べるとその様な名前だった。

 

 目的の駅に着くまで、長い時間見上げていた。

 

 そして祖父の家に着く。

 

祖父の家の扇風機も、

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 同じ様な緑色。私はこの色が大好きだ。金属に馴染む色なのか、当時良くこの緑を目にする事が多かった気がする。

 

 話はかわるが、最近車を購入した。

 

 熟考に熟考をかさね、試乗を幾度となく繰り返し、見積もりを穴が開くほど睨んで、ようやく決着を見た。

 

 選んだ車は優等生。なんでもそつなくこなす。本当に選んで良かった。

 

 ただ、私が独り身で何にも縛られずに選んで良いとすれば、

 

   ダイハツキャンバス

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にすると思う。

 

 アラフィフのおっさんには似合わないかも知れない。

 

 ただ、問題は色。上記のボディの緑色ではなく、

 

 ダイハツ トコット

 

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 この色。この色がバリエーションにあったなら、今家族がいる状況でも努力を惜しまず説得し、購入していたであろう。

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 フロントにはオプションでこのエンブレムをつけてもらう。

 

 完璧だ。完璧すぎる。

  

 実際、ダイハツディーラーにて、トコットの色をキャンバスに塗ってもらえないか、聞いてみた。

 

 案の定出来ないと言う返事。

 

 今現在、キャンバスはモデルチェンジの噂がある。

 

 もしこの色が登場する事が有れば、今の愛車を恨めしい目で見てしまうかも知れない。

 

 怖いような、楽しみのような。

 

 

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