表と裏の高速回転

色々な気持ちを忘れない様に

処世術

 子供の頃、つまらない時間があった。

 

 今では当たり前に感じる日常の平穏な場面。

 

 常に良い事ばかりでは無いのは分かっていたのだが、何とかして楽しい気分になりたかった。

 

 私は笑ってみた。

 

 楽しくも無いのに。

 

 最初の方はただの声の羅列。

 

 1分位してくると、少しずつではあるが、気持ちが加速度的に高揚してくる。

 

 そして、最後にはリミッターが外れたかの様に凄く楽しい気持ちがやってきた。

 

 大声で笑い続ける私を姉が見て、

 

「〇〇ちゃん(私の名)がひきつけ起こしてる!!」

 

と言い、


【第2類医薬品】樋屋奇応丸 特撰金粒(500粒)【樋屋奇応丸(ひやきおーがん)】

 

「ひやきおーがん」を持って来た。

 

 それを飲まされ、落ち着かされる。

 

 側から見ると危険な状態に見えたのだろう。

 

 私は一連の行為の意味を、説明出来ずに笑い疲れて寝てしまう。

 

 今思うと、あの時の方が自分の心の処方箋を持っていたのかも知れない。

 

 今度辛い事があったなら、一度試してみようと思っている。

 

 ひやきおーがんはないけれど。

 

 

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