「夏休みの宿題」
小学生から中学生、高校生に至るまで。
全部もらさずきっちりやった記憶は、
一度たりとも無い。
休み最終日に慌てふためく風景が、漫画等で良く見受けられるが、私には存在しなかった。
先生達は、いずれ諦めると何処かで思っていたし事実、そうなった。
今現在、こんなちゃらんぽらんな人間が二児の父親になっているとは誰も思うまい。
「ヒキだけ男」
と、呼んで頂いて結構。
しかし、どんな題かは忘れてしまったが、小学生時分の工作らしき宿題だけは、気合が入った。
夏休みが終わると体育館に並べられる、各人趣向を凝らした作品達。
それらは、工作だけでは無く、書道や、絵画、自由研究等も所狭しとひしめいていた。
残念ながら、展示物に関する記憶が殆ど抜け落ちてしまっており、ここに描写するのは困難になっている。
凄くワクワク。
この気持ちと、「もう一つ」はしっかり覚えている。
—今年こそ。
そう思って毎年挑戦するが、いつも挫折してしまう。
そんな工作があった。
図書室で借りた本に載っていたのか、もうそれすら定かではない。
当時の私が、なんとかギリギリ作れそうな。
そして、それを体育館に並べたら、きっと大注目されるだろうそれは、
電気を使わず、コインの重力を利用して、水を出すこの作品。
世界初の自動販売機と言われているそれを作れたなら。
周りからチヤホヤされる情景を思い描き、私はニヤけながら何年も作ろうとした。
だが、結局無理だった。
水に耐えうる材料達。これらを集める術を私は持ち合わせていなかったのだ。
いや、持っていたとしてもきっとダメだった様に思う。
結局、学校に持っていくのは厚紙とセロテープで作ったやっつけ作品だった。
時を経た今。
そう、ガシャポンなら。
作ってくれるに違いない。
私の無念をどうか、どうか晴らしてほしい。
うん。
それじゃあ、ボクはこの辺で。
後、ヨロシク。