表と裏の高速回転

色々な気持ちを忘れない様に

先入観

ハンバーガー冷めるで。

—食べへんの?

 

私は、

 

机に突っ伏して項垂れている。

 

当時私は20歳位だったであろうか。

 

いっちょまえにデート中だ。

 

県庁所在地まで電車で30分。

そこから映画を見た。

 

ぶらぶら観光地を散策する。

池には亀が気持ちよさそうに甲羅干しをしていた。

 

知っている景色を一通り見て回ると、時間はお昼。

 

適当なお店を探すが、まあここでええやん。

皆様ご存知のハンバーガーショップへご入店。

 

デートなのでちとオシャレな方の。

 

注文し品物が届く迄の間、厠に行ってこようと席を立った。

 

ここだね。

 

ドアを開ける。

 

ふーん。

 

オシャレなお店には、小便器がないんだねえ。

 

と、

 

思った矢先、

 

個室より、

 

女性が出てきた。

 

向こうも私も同じタイミングで、

 

「ギョ」

 

っとした。

 

おかしい。

おかしいぞ。

しっかり見て入ったぞ。

 

私は間違ってない。

 

人間慌てると変な行動をするもので、私は何故か、その人を背に、洗面で手を入念に洗い始めた。

 

そうだ。私は手を洗いにきたのだ。

 

私は正しい。

 

そうしていると、訝しげな目つきの女性は部屋から出て行ってしまった。

 

少し落ち着きを取り戻す私。

 

そして出入口のドアを開ける。

 

ほうら、青。

ね。

 

…??

 

スカート?

スカート履いてるやん。

 

青やのに、スカート。

 

あろう事か、女子トイレに間違い無く私は、間違って入ってしまっていた。

 

 

 

—ポテト冷めるで。

—なあ。

—どうしたんよ。

 

分かっている。

彼女の声は聞こえている。

 

返事は、

 

少し待って欲しい。