私は猫が好きだ。
何故?
わからない。
いつから?
生まれた時から。
ただ、私の愛が重すぎて飼うことを躊躇っている。絶対に不幸にしてしまう「自信」がある。
また、今まで一度も野良猫が近づいて来たためしが無い。
ネットなどで勉強した、目を逸らしながら気のないふりをして、少しずつ距離を詰める方法。
私の身体中から溢れんばかりの禍々しい猫愛が吹き出しているのだろう。身構えるや否や走って逃げていってしまう。
ただ、仲良くなりたいだけなのに。
YouTubeで「お父さんが好きすぎる猫」とかを見ると、羨ましく妬ましい。
私も追いかけ回され、頭頂部をなすりつけられたい。
そう思い続ける事幾年月。
ある能力が目覚めた。
以前飼っていた黒猫をARの如く召喚できる様になった。
ドアの辺りからにゃあにゃあ言いながら近寄って来て、椅子に座っている私の足元で身体をなすりつけて来る。
膝の上に乗って来て一度伸びをし、香箱座りをする。のどをごろごろ言わしながらあくびを一回。そして、うたた寝。
ある時は、目をこれでもかといわんばかりに見開いて「すんすん、くんかくんか」匂いを嗅いでくる。
当然、実際に飼っていた猫は、私の愛に怯えて近づいてもくれなかったが。
これくらいの幸せが私の背丈にはお似合いだ。
ただ望むらくは、
この能力をもっと高め、色々な猫ちゃんを召喚したい。
「猫の気持ち」と言う雑誌。
それを宣伝する小冊子がスーパーのサッカー台に置いてある。
いつも一部持って帰り眺めている。
どの猫ちゃんも可愛かったのだが、その中でも一際輝きを放っていたちゃん猫。
何の気なしにTVを見ていたら、偶然目に止まった。
tone のcm。
最後のシーンに写っていた猫ちゃんだ。
モデルさんだった。
その猫ちゃんを召喚し、
少し小さめの額を爪でかりかりしたい。