表と裏の高速回転

色々な気持ちを忘れない様に

悪癖

私には、交友関係を区切り区切りでリセットしてしまう癖がある。

それは、煩わしいからとか、面倒くさいからと言う訳ではない。

学校などのコミュニティが終了してしまってから、自分の様なくだらない者にわざわざ会いたい人間など居ないだろうと思っていたからだ。

 

そんな事で他人を、

 

「慮る」

 

ナルシズムの極致を体現していた。

 

しかし、人間も50年近くやっていると、なんだかそれも面白くなくなってきたのだ。

カッコつけて人生はネタだと言っている割に、自分が傷つかない安全地帯を、慎重に歩いているだけではないか。

 

くだらない。

 

どうせもう暫くしたら、土塊に帰るだけなのに。

 

そんな事を考えはじめていた矢先、何の気無しにTVの録画リストを見てみると、アニメ

 

キン肉マン

 

の文字。

 

あれ、こんなん撮ってたっけ。

 

私は録画したつもりは無い。

聞けば、妻がアニメをキーワードに丸ごと録画を設定していたらしい。

 

懐かしい。

これは観たいと、再生ボタンを推す。

 

私の知らない新シリーズが始まるとの事で、初回は今までの回想回だった。

知ってる知ってる、懐かしいなあ。

独り言を言いながら眺めていると、

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—我々、宇宙超人が地球を侵略する為に待機しているのだ。

 

と、ビックザブドーが宣うシーン。

 

やや。

 

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この超人は。

 

昔、私はキン肉マン消しゴムのガチャガチャで、コレを引き当てた事があるのだ。

本編では見た記憶が無いコレを、友達と模写して遊んだ。

その風景から、続けざまにその友達との思い出が溢れ出てきた。

 

山の頂上にある遺跡と神社を意味無く往復したり、みんなの歌を眺め、大声で歌いながら下校したり、変なフレーズに衝撃を受けたり。

 

そう、彼は私のブログに良く出てくる彼だ。小学二年生の時、引っ越してしまった。

 

実は中学時代、私は彼から手紙を貰っていた。

サッカー部や吹奏楽部で大変忙しいが充実した日々を送っていると言う内容であった。

 

翻って私は、やりたくもない卓球部に友達に誘われるまま入ってしまっていた。

自分の意思ではないのを錦の御旗に、幽霊部員に成り下がっていた。

 

このコントラストに、私は耐えきれず結局返事を書けなかったのだ。

 

そんな後悔がずっとあった。

 

今、重い腰をあげるチャンスだ。

 

息を止め、私はこの画像を写真に現像し、手紙を書きなぐり、切手を貼った。

そして、迷いなく投函する事に成功せしめたのである。

 

相手の事など、考えなかった。

 

何をいまさら。

誰ですか、あなた。

 

ネガティブな銃弾が頬を掠める。

 

知った事か。

 

私が、

 

いいと思い、

 

欲望のまま実行したのだ。

 

 

ここまで生きて来て思う。

 

 

結局、どれだけ人は歳を重ね、経験を積もうが、

 

他人には、

 

なれないのだ。

 

何を考えているのか、どう思っているのか、足りない私の頭で考えるだけ時間の無駄だった。

 

それやったら、やって見たらええねん。

別に、手紙送るだけやろ。

迷惑やったら、その場で捨てるやろ。

感謝してる内容だけやろ。

友達で居てくれてありがとう。

それだけやろ。

ほなええやんけ。

返事なんか期待してへんやろが。

 

どうせお前もいずれはつちくれや。

 

思った事を相手に伝えられる内にちゃんとしとけ。

 

後悔せんようにな。

 

と、私の中の皮肉家が、らしく無い言葉で捲し立てる。

 

—そうやね。

 

と、私は自己を肯定し、大きく息を吐いた。

 

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