旅の目的。
ひつまぶしを食べること。
それが達成でき、お腹も心も満たされた私。
この後の予定は何にもかんがえていなかった。
でもね、やっぱり、見ておかないと。
その名も、名古屋城。
子供達同士で旅行のお土産交換をよくしているので、それも買わないといけないだろうし。
地下の駐車場に車を入れて歩いてすぐ、入り口に到着。
なに?入場料。天守閣に上らないのに?近くまで行くだけの為に?
一人500円也。
四人で2000円。
うーん、頭の中で数式が飛び交う。
旅の予算等は決めてはいないが、とても見たいかと言えば…
—うん、辞めておこう。近くにお土産物屋さんあったし。ね。そっちでお金使おう。
説き伏せる前に踵を返す私。
知らない知らない。聞こえない。
ほら。どこか外から見えるでしょうよ。
お堀の側を歩いていると、
ほら、ほらほら、見えた。
あーよかった。
どこよ、どこよ、と言う家族を尻目に歩く。
寧ろ、逃げた。
さあ、お土産物屋さんだよ。
きばって友達への贈り物、見つけなさいと、子供を解き放つ。
私もウロウロする。
そうか、今大河ドラマをやっているんだ。登場人物達のパネルがあった。
そこには結構な人だかりが出来ていて、隙間を見つけて歩くのも一苦労。
導かれる様に奥へ。
その先に、まさかの。
燦然と輝く記念メダル自動販売機が。
隣には、刻印マシンまで。
紛う事なき、ノスタルジーの入り口の前に、私は立った。
このマシンを初めて見たのは1981年。
「神戸ポートアイランド博覧会」
記憶はほぼ無いが、このメダルを買ってもらい、刻印したのははっきり覚えている。
何故なら、苗字と名前のスペースを入れ忘れられたから。
それでも嬉しかったなあ。
鉄のアイテムが好きになったのはひょっとしてあの時か。
現役で稼働していてくれて、ありがとう。
そう呟き、お金を入れる。
刻印?
勿論。
ああ、名古屋。
私の全てを満たす、魅惑の都市でした。
おしまい。