
1.3.5
1.3.5.7
1.3.5.7
1.3.5.7
1.3.5.7
これを何年間続けただろうか。
今は引き払ってしまいもう他人様の物になっているのだが、私の実家のあった場所。
5階建マンションの3階だ。
階段の種類は5段と7段の二種類。
一段飛ばして登るので、最初は一段だけ。
残りは偶数なので2段づつ片付けた。
そうやって私は長年、無意識に数えながら我が家に帰っていた。
小さい時分は走って。
やはり、家に帰るのはうれしかった記憶がある。
今は、一軒家に住んでいるので階段を登って帰る必要はない。
だからこそなのか、私は階段を駆け上がりたい衝動に駆られていた。
それを満足させようと調べてみたら、京都駅の階段を登る大会があると言う。
ただ、よくよく見てみると、4人1組にならないと参加資格が無い。
同僚などを誘ってみたものの、良い返信は最後まで聞けなかった。
そして、去年。
私のブログでよく出てくる紀三井寺で、
「早駆詣り」
なる催しが行われていると知る。
200段余りの階段を駆け上がる大会だ。
これは。
こんな近くに私の夢があったとは。
正に、灯台下暗し。
勿論やってみたいです。
残念ながらその年の大会は終わっており、次に望みを託した。
そして、11月。
そういえばと、サイトを探したら参加者募集の文字。
急いで参加希望のメールを打つ。
そして、返事が無いのでほぼ諦めていた12月中旬。
待望のメールが返ってきた。
そろそろ開くと。

よし。よし。
久しぶりにガッツポーズをする私。
ただ、懸念が。
実は、私が今までやってきた筋トレは上半身のみ。
懸垂とコロコロだけなのだ。
下半身を鍛えなければ。
満足いく程の時間も無いが、出来る事はやってみよう。
自転車を漕ぎ、ランニングをした。
そして、実際にお寺に行き、階段を登り降りした。
しかし、する度に絶望感が私を襲う。

頂上が見えない。ほぼ崖じゃん。
普通に歩いて登るだけで息が上がる。
数回往復すれば、膝が大爆笑。
産まれたての子鹿の様になり、私も大爆笑。
このままでは、
「恥」
をかいてしまう。
いや、私の今年の座右の銘は、
「克己」
だ。
びびって怯めば元の木阿弥。
そう思い、取引先の方々に出場する事を言いふらした。
そうだ。背水の陣だ。自分を追い込め。
そう自身を奮い立たせ、当日を迎えた。
受付は、7時半。
5000円で買収した息子を駐車場で待たせ、お寺の前に着いた。
すると、スピーカーから声がする。
—早駆け詣り出場の方は上まで。
え。
一回階段登るんですか。そうですか。
むう。

登っていく最中、またも弱虫が顔を出す。
登り切れるのか。
途中で棄権なんて事ないだろうか。
ひっくり返って怪我するんじゃ。
こんな時に限って色とりどりのシュチュエーションが思いつく。
もう、まな板に乗ったのだ。
諦めろ、私。
そして、参加費を渡し、ゼッケンを頂いた。

なんと。
ラッキー7。
しかも2つ。
縁起の良い数字に背中を押された気がしたのも束の間、次々に集う参加者の方々が兵ばかりなのがまた私を弱気にさせた。
なんか良いウェアを着ているんだもの。
暫くして、開会式が始まった。
私は息子を呼び寄せ、気を紛らわせる。
いつもより饒舌になっているな。
自分を観察し、可笑しくなった。
—それでは、40番までの方は階段を降りて下さい。
いよいよ始まる。
この緊張感を楽しむのだ。
そう思って自分の番が来るまで、ランナーを声を出し、手を叩き応援した。
—それでは、80番までの方、下まで降りて下さい。
キタ。
息子に上着などを渡し、階段を降りる。
—77番の方はこちらへ。78番の方と同時にスタートします。
はい。
暫くすると、78番の方がやって来た。
本気だ。
風体から、もう色んなマラソンや、ひょっとしたらトライアスロンなんかもやってそうな。
その上、腕に光るアップルウォッチ。
怖い。
…
いや、まあ良い。
今回、私が勝たないといけない相手はこの心。
他人様などは、視界に入れるな。
そんな事を考えている間に、とうとう我々の番になった。
—位置について、ヨーイ、スタート。
そこからは、無我夢中で登った。
踊り場が何個かあり、その最後の60段程に差し掛かった。
もう、殆ど足が上がらない状態となり、気力だけで這い上がる。
勝負はここからだ。
途中、2回程自分を鼓舞する様に声が出た。膝に手をついてふらつきながら漸く頂上に着いた私。
感極まり、思わず雄叫びをあげてしまった。
その後荒い息遣いの中、心地よい達成感を味わう事が出来た。
こんな御朱印も貰えて大満足。
紀三井寺様。
来年も行うのであれば、是非参加させてください。
皆さまもいかがでしょうか。
膝が笑う感覚は、新鮮ですよ。